感染症と共に生きる

人類は,はるか昔から現在まで,さまざまなかんせんしょうたたかっています。

ときには,かんせんしょうが原因の一つとなって強大な国がおとろえてしまうこともありましたが,
こうせい物質の発見やワクチンの開発より,多くのかんせんしょうこくふくしてきました。

最近では2019年から世界中に広がった新型コロナウイルスかんせんしょうCOVID-19コビッドナインティーン)によって,
私たちの生活は大きく変化しました。

今後も,未知のかんせんしょうが発生,流行するかもしれません。

そのとき,私たちはどのように行動すればよいでしょうか。

世界中に広がった感染症 〜人類が経験した主なパンデミック〜 ★1

★1 感染症が世界的に大流行すること

てんねんとう

人類が根絶に成功したゆいいつかんせんしょうである。

紀元前1157年にてんねんとうにかかって亡くなったと考えられるラムセス5世のミイラ。ほおほっしんのあとがある。 写真:アフロ

ペスト(黒死病こくしびょう

に黒いはんてんれ物ができることから,黒死病こくしびょうと呼ばれた。

大流行が起こった14世紀のヨーロッパでは,当時の人口の3~4割の人が亡くなったといわれている。

近年,世界で年間1,000〜2,000人程度のかんせんが報告されているが,りょう法が確立しているため,死亡率は1割前後となっている。

ペストの大流行の恐怖きょうふえがいた絵
作者:ピーテル・ブリューゲル
写真:アフロ
防護服を着た医師。かんせんを防ぐために仮面を着けていた。 写真:Science Source/アフロ

スペインかぜ

1918~1919年,第一次世界大戦の終わりごろに,世界でインフルエンザの大流行が起こった。これは「スペインかぜ」といわれ,この流行で世界の人口の1/3がかんせんしたといわれている。死亡者数は4,000万人とも1億人ともいわれ,インフルエンザの流行で最大のものとなった。

日本では,このインフルエンザの流行をきっかけとして,マスクを着ける習慣が生まれた。

マスクを着けることを促す大正時代のポスター
「流行性かんぼう(内務省衛生局著. 1922年)
国立保健医療科学院図書館蔵

新型コロナウイルス感染症

2019年12月,新型コロナウイルスかんせんしょうが発生し,日本をふくむ世界中で流行することになり,私たちの生活に大きなえいきょうあたえた。

新型コロナウイルスかんせんしょうの流行を伝える新聞記事
マスクを着けて通勤する人々 写真:アフロ
かんせん拡大を抑制するためにふうされた都市(中国かん市) 写真:ロイター/アフロ
かんせん拡大防止を呼びかけるステッカー 写真:西村尚己/アフロ
ワクチンの接種 写真:つのだよしお/アフロ

新型コロナウイルス感染症によって変化した生活様式

流行前:マスクなしでの生活・大人数での食事 流行中:常にマスクを着けての生活・オンラインでの授業・座席配置の工夫

ワクチンの仕組み

ワクチンは,感染症に一度かかると,二度はかからないことを参考にして作られた。

病原体が体に侵入すると,人の体は抗体をつくり病原体の情報を記憶する。体はこの病原体を覚えていて,二度目に同じ病原体が侵入したときに,免疫のはたらきにより感染や発症,重症化を防ぐことができるようになる。ワクチンはこの仕組みを利用し,免疫を強くして,病気を予防,治療するための医薬品である。ワクチンを接種することで,個人が感染しにくくなり,社会全体への感染拡大を防ぐことにもつながる。

ワクチンを接種する前には,ワクチンに関する正しい情報を確認し,不安なことがあるときは,医師に相談することが大切である。

ワクチンを接種→感染症の症状が出なくても、その感染症の免疫ができる。病原体が体に入っても、免疫のはたらきで、発病しないか、軽症で済む。イラスト:はやしろみ