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O君

どのような仕事をしていますか。

給食センターで給食のこんだての作成や,食材の発注,調理の際の衛生管理など,学校給食に関わる仕事をしています。
また,学校を訪問し,小・中学生への食や健康に関する指導もしています。

インタビュー
資料0

学校で,食についてのお話をする平山さん。

O君

どうしてこの仕事についたのですか。

栄養士になりたいと思ったのは,中学生のころでした。
そう思った理由は2つあります。
1つ目は,給食がおいしかったのはもちろんですが,クラスの友だちと楽しく話しながら食べるその空間が好きで,給食にたずさわる仕事がしたいと思ったからです。
2つ目は,食べないダイエットをして体調をくずしてしまったことがあって,そのときに身をもって栄養の大切さを感じたためです。

インタビュー
O君

中学生のときの夢を実現したんですね。
すばらしい!!

栄養の大切さを,子どもたちに伝えていきたいなと思っています。

インタビュー
O君

仕事のやりがいはどんなところですか。

給食を食べた子どもたちに,「おいしかった」といってもらえるとうれしいです。
ときには「実はこれが苦手だったという声もありますが,そのような声もふくめ,実際に子どもたちとコミュニケーションをとりながら仕事に取り組めることにやりがいを感じます。

インタビュー
O君

仕事の大変なところはどんなところですか。

異物混入や食中毒が起こらないように,衛生管理をしっかりしなければならないところです。
たとえば,虫の混入については,混入した原因をき止めるのが困難で,調理の際に混入したのか,教室で混入したのかわからない場合が多く,苦労しています。
それでも,混入を防ぐために,野菜のせんじょうは必ず3回以上念入りにするだけでなく,給食センターのせつの改善をするなど,調理員さんと話し合ってよりよい方法を考え,実行しています。

インタビュー
O君

調理以外にも,苦労があるのですね

そうですね。完璧な解決方法がないのが難しく,大変なところです。

インタビュー
O君

仕事のなかで数学を使うのはどんなときですか。

献立を作成するとき,必要な栄養素の量を求めたり,どの食材をどれだけ使えばよいかを決めたりするのに,さまざまな計算をしています。
食事全体でとるエネルギーのうち,たんぱく質:しつ:炭水化物の割合は,152560 となることが理想とされていて,これをもとに各学年の児童・生徒に必要な栄養素の量を計算します。
給食でとるエネルギー量は学年によって異なりますが,各学年のエネルギー量を x kcal と置くと,たんぱく質からとるべきエネルギー量は,15100×x (kcal) という式で求めることができます。
また,たんぱく質のエネルギー量は 1 g あたり 4 kcal なので,とるべき量は,15x100×14 (g) という式で計算できます。
献立を作るときは,各学年の児童・生徒に合ったバランスのよい食事になるように,それぞれの栄養素について計算をすることが大切です。

インタビュー
資料0

コンピュータを使い,栄養バランスを考え,献立を作成する。

O君

献立を作成するとき以外にも,数式を使って計算をすることはありますか。

はい。調理が終わって味見をしたときに,味が足りないと感じることがあります。
その場合には,調味料を加えるのですが,そのとき,どれくらいまでであれば基準量をえることなく加えられるかを,その場で計算して求めることもあります。
ほかにも,主食と主菜と副菜の量の割合が3:1:2であるとバランスがよいとされているので,このバランスを考えるときにも,計算で必要な量を求めています。

インタビュー
O君

ほかにも数学を使う場面はありますか。

給食の食べ残しの量を調べて,次につくる際の量の参考にしています。
初めてつくる献立の場合には,子どもたちの反応を見るために,少なめの量でつくることがあります。
このとき,食べ残しが少なくよく食べていたと見られる場合には,次につくる場合は,もう少し多めにつくることもあります。

インタビュー
O君

統計的な考え方も使っているんですね。
それでは,中学生のころ,数学は好きでしたか。

はい,好きでした。
得意ではありませんでしたが(笑)

インタビュー
O君

数学のどんなところが好きでしたか?

先生が毎回,授業を工夫してくれて楽しかったです。
また,1つの答えがきちんと出るというところが好きでした。
答えがなかなか出ないときも,先生にはげましてもらってがんばれました。

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O君

全国の中学生にメッセージをお願いします。

なりたい職業がまだ決まっていない人も多いと思いますが,数学が得意であれば,将来せんたくできる職業のはばがひろがります。
数学を使わないのではないかなと思える職業でも,きっとどこかで使うことがあると思うので,がんばってください。

インタビュー
資料0

食器のせんじょう作業をする調理員さんと平山さん

資料1

平山さんが作成した献立表

取材レポート

中学生の頃にいだいた栄養士になる夢を実現し,お仕事をされている平山さん。
栄養士の仕事のこと,中学生のころのことを,生き生きとお話しくださいました。
取材を通して,身近な給食に関わるお仕事にも,中学校で学ぶ数学が生かされていることに気づくことができました。
これからも,たくさんの子どもたちの健康・成長のために,ぜひ数学を生かしてかつやくしてください。

レポート写真

笑顔で栄養士の仕事について語る平山さん。

栄養士の数学に

チャレンジ

たんぱく質:脂質:炭水化物の割合は,152560 となることが理想です。
給食でとるエネルギー量を x kcal とおくと,脂質からとるべきエネルギー量 kcal は,どのような式で求めることができますか。
また,とるべき脂質の量 (g) は,どのような式で求めることができますか。
ただし,脂質のエネルギー量は,1 g あたり 9 kcal です。